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兼六園の概要/印象

兼六園は、江戸時代を代表する池泉回遊式庭園で、水戸(茨城県)の偕楽園、岡山の後楽園とともに「日本三名園」の一つとされている。

金沢市の中心部に位置しているが、総面積は約110,000㎡と広大だ。

霞ヶ池を中心に回遊できる園内には、約160種、約8200本もの樹木が生えており、また築山・渓流・噴水・橋・滝・池・茶亭・灯籠・石塔なども配されて、変化に富んだ景観となっている。

豊かな自然と、人工的な造形物が調和した美しさが日本だけでなく世界でも高く評価されており、ミシュラン発行の旅行ガイド「ミシュラングリーンガイド·ジャポン」でも最高の三ツ星にランクされているほどだ。

兼六園は、春の桜(※「日本さくら名所100選に選ばれている)、初夏の杜若)、秋の紅葉、冬の雪吊りなど、四季折々の美しさでも有名だ。

※雪吊りとは、雪の重みによって樹木の枝が折れることがないように縄や針金で枝を吊る保護策のこと。

 

が、兼六園はただ美しい庭園というだけではない。

江戸時代、当時の日本の支配者である徳川幕府の軍勢がこの地まで攻めて来ることを想定し、金沢城を防衛する重要拠点の一つという役割も密かに担っており、その目的に応じて池や山などは配置されているのだ。

 

以下で兼六園の歴史について記す。

1676年に加賀藩第5代藩主・前田綱紀が自らの別荘として蓮池御殿を造り、その庭を蓮池庭と呼んだのが兼六園の始まりだ。

その後、加賀藩に来る客などのもてなしや、宴などを催す場所として大いに活用されたが、1759年に起きた大火事で、この蓮池庭のほとんどが燃えてしまう。

15年後の1774年に第10代藩主前田治脩が蓮池庭を再興し、以来、歴代の藩主も造営を続け、1851年に第13代藩主前田斉泰の治世になってようやく完成した。

その後、1868年に”侍の時代“が終わると兼六園の所有者は前田家から日本政府になった。

1874年から全面的に市民へ開放され、それにあわせて多くの茶店が出店するなどで、観光地として栄えるようになって今に至る。

1922年に名勝に指定され、1985年には特別名勝へと格上げされた。

※特別名勝は国宝と同等の位置付けで、日本全体でも36しかない。

なお、兼六園という名は、中国で名園の条件とされた六勝の条件全てを兼六園が備えているところから命名された。

※兼六園と命名したのは、この時代の代表的な大名だった松平定信(1759〜1829年)だと言われているが、実際は加賀藩・第12代藩主の前田斉広だったようだ。

 

なお、六勝とは以下の6つ。

  • 「宏大」広く大きいこと
  • 「幽邃」静寂と奥深さ
  • 「人力」人の手が加わっていること
  • 「蒼古」味わいのある趣
  • 「水泉」小川、滝、池など
  • 「眺望」見晴らしがよいこと

何だかよくわからないが、わからなくても深くは気にしないでくれ。

 

兼六園は金沢No.1の観光スポットで、日本有数の非常に素晴らしい庭だが、決してダイナミックな場所ではない。

むしろ地味だ。

君が“なんとかランド”みたいな、原色的で、わかりやすい物が大好きなタイプの人ならば行かなくても良いだろう。

逆に友達に「年寄りくさい」とか言われている君であれば、気に入って住みたくなるような場所だ。

心が疲れている君は半日くらいいて、ベンチに座ってぼんやりすると精神状態は良くなるだろう。

なお、兼六園は、は金沢城公園と金沢21世紀美術館からは徒歩3分、近江町市場と長町武家屋敷跡からは徒歩15分の距離にあるので、これら施設と一緒に回ると効率的だ。

お勧め・特筆事項

ひたすら庭を見て、散策してくれ。

フォトジェニックな場所が多いので、写真を撮ってSNSにUPするのを忘れるな。

グルメはそこそこ充実している。

お得情報/無料開園

兼六園は、日の出頃から開園の15分前までは毎日無料で開放されている。

※開園時間は午前7時(※10月16日~2月末日は午前8時)

無料かつ人のいない静かな園内を楽しめるので、早起きが出来る君は行くべきだろう。

この時間に出入りできるのは、北西の蓮池門口と南西の随身坂口の2か所のみ。

その他、毎週金・土や祝前日の日没~21:00に行われる「金沢城・兼六園ライトアップ」や、各種イベントの際などに、しょっちゅう無料になっている。

※まあ、入園料は320円なので、必死になって無料のタイミングを狙う必要はないが。

グルメ

兼六園の中には雰囲気の良いレストランや茶店がいくつかある。

庭を見ながら和食やスイーツを食べたり、抹茶を飲んだりすると良い感じだ。

兼六園へのアクセス/データ

バス

兼六園にはバスでアクセスするのが一般的だ。

金沢駅(東口)から兼六園までは、多くの「北陸鉄道バス」、「JR西日本バス」、あるいは全ての「城下まち金沢周遊バス」・「兼六園シャトルバス」・「まちバス」を使って15分くらいで行くことが出来る。

※「まちバス」は土・日・祝日のみ運行

下車すべきバス停は以下。

①兼六園下・金沢城:⑥・⑦乗り場から出る全てのバス(※快速を除く)が停車する。

②広坂・21世紀美術館:③・⑦乗り場から出る全てのバスが停車する(※快速バスを除く)。

タクシー

金沢駅から兼六園までは約2.5kmの距離で、タクシーだと10分、1,200円くらいで着くので、複数名で訪れる場合は利用した方が時間の節約になる。

兼六園

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観光

散策

メインの入り口である「桂坂口」から入った場合の順路(※時計回り)に沿って主な見所を紹介する。

霞ヶ池/徽軫灯籠

霞ヶ池は兼六園のほぼ中心に位置する園内最大の池で、その面積は約5800㎡。

霞ヶ池の周辺には、栄螺山、内橋亭、徽軫灯籠、虹橋、唐崎松などの名勝が配されており、中央部(やや東南寄り)には蓬莱島が浮かぶ。

池を廻遊しながら四季折々の庭景を楽しめるようになっている。

徽軫灯籠は、霞ヶ池の一番北側に立つ高さ約2.7mの灯籠で、その独特の形から“兼六園のシンボル”となっている。

記念撮影の人気スポットでもあり、人々は大体手前にある虹橋に立ち、霞ヶ池と徽軫灯籠、その傍らの紅葉の古木をバックにして写真を撮っている。

なお、徽軫灯籠の名は、脚の部分が二股になっていて、形が琴の絃を支える琴柱に似ていることに由来する。

唐崎松

非常に多くの樹々が繁茂する兼六園の中で、姿形の美しさが“園内一”とされる黒松。

霞ヶ池のほとりに生えている。

ちなみに、雪国の金沢では、冬でも青々として目を楽しませてくれる松が樹々の中でも主役だ。

加賀藩の13代藩主の前田斉泰が、その時代に有名な景勝地であった琵琶湖畔の唐崎という場所から種子を取り寄せて自ら育てたのが始まり。

兼六園では、雪の重みによる枝折れを防ぐため、園内の約800本の樹々に「雪吊り」を施すが、中でも唐崎松は特別扱いだ。

松の周りに5本の芯柱を建て、総数約800本(!)の縄を使って枝を吊る。

「雪吊り」が施された冬の唐崎松は、円錐型のシルエットが非常に美しい。

眺望台

兼六園が小高い丘の上にあるため、この眺望台は抜群のピューポイントだ。

黒瓦が特徴の金沢の美しい街並みや、卯辰山だけでなく、晴れた日には遠く日本海や能登半島までも眺めることができる。

雁行橋

雁が夕空に列となって飛んでいく姿を11枚の石で表現した橋で、園内を流れる小川、曲水にかかっている。

石橋の一つ一つが亀甲の形になっていることから、「亀甲橋」という別名を持つ。

日本では亀は長寿の象徴であるため、「この橋を渡ると長生きする」という伝説が出来、長年大勢の(ちょっと頭の弱い)人達が渡ったために、石がひどく磨耗してしまった。

その結果、橋を保護するために現在は渡ることが出来なくなっている。

根上松

高さ約15m、幹周約4mの風格がある黒松。

大小40数本もの根が地上2mにまで盛り上がっている様子は奇観であり、迫力もある。

この松は、加賀藩の13代藩主、前田斉泰が、自ら植えたもの。

盛り土をしてその上に若い松を植え、木の成長に従って土を取り除いて根をあらわにし、現在のような形状に仕上げた。

曲水・花見橋

曲水は、兼六園を曲がりくねって流れている小川のこと。

江戸時代に、金沢城の防火用水として城内に水を引き入れるため造られた辰巳用水の一部を兼六園の庭づくりにも利用したものだ。

園内を豊富な水で潤す曲水の流れは微妙な高低差によって生まれており、造園当時の高い土木技術と作庭の巧みさを示している。

その曲水に架かる花見橋は、風情のある木造橋。

その名のとおり、兼六園内きってのお花見スポットだ。

橋の上からは、緩やかに流れる曲水に沿って、春には桜、初夏にはツツジ、皐月などが美しく咲く姿を楽しむことが出来る。

特に5月に満開を迎えるカキツバタは約10,000株、40,000本もあり、兼六園の名物の一つだ。

夏の緑陰、秋の紅葉、冬の雪景も素晴らしい

瓢池・翠滝

瓢池は、園内中央の広々とした霞ヶ池とは対照的に、樹木が水面に濃い影を落とし、静けさが漂う池だ。

兼六園の一番西側にあり、桜や紅葉の名所でもある。

池の中程がくびれて、瓢箪のような形をしていることからこの名前が付けられた。

瓢池周辺は、かつて蓮池庭と呼ばれ、兼六園で最初に作庭された場所だった。

翠滝は、霞ヶ池から流れ出た水が、瓢池に注ぎ込むところにある滝で、高さ6.6m、幅1.6mと結構大きい。

水量が豊富で、滝音も大きいので、目と耳の両方で楽しむことが出来る。

噴水

1861年に造られた日本最古の噴水で、霞ヶ池の北西の位置にある。

噴水の高さは約3.5mだが、ポンプなどの動力は一切用いていない。

噴水より高い位置にある霞ヶ池を水源とし、池の水面との高低差を利用した自然の水圧のみで吹き上がっている。

つまり「逆サイフォンの原理」を利用しており、当時の技術レベルの高さには驚かされる。

グルメ

兼六園には園内に4つ飲食店がある。

庭を見ながら、ゆったりと美味しい食事や、お茶と和菓子を楽しむのは至福の時間だ。

三芳庵

1875年の創業以来、日本の皇室など数多くのセレブに愛されてきた老舗の料亭。 園内・西側の瓢池のほとりにある趣深い日本家屋の店内では、美しい庭園を見たり、滝の水音を聴いたりしながら、金沢らしい料理を盛り合わせた弁当1,6 […]

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時雨亭

主に茶の湯の場所として利用されていた藩主の別荘を2000年に復元し、休憩所および甘味処とした。 園内中央部、霞が池の西側にある。 庭園を眺めながら休憩したり、お茶と和菓子を楽しむことが出来る。

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兼六亭

飲食と土産物の店で、園内の一番北側の入り口である桂坂口の近くにある。 郷土料理の治部煮(鴨肉と野菜の煮物)が日本そばの上にのった「じぶそば」が名物で、その他にお茶や和のスイーツも楽しむことが出来る。

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茶屋 見城亭

園内の一番北側、桂坂口を入ってすぐのところにある茶店。 1階は甘味処と土産物屋、 2階は和食レストランとなっている。 世界的建築家の隈 研吾によってデザインされた建物/内装は見ものだ。 毎週日曜(※3〜11月のみ)の朝8 […]

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