新世界

原色で品のないたくさんの看板や派手なネオン、威勢のいい呼び込みの声、鳴り響くパチンコ屋の音、訳のわからないものばかり売っている路上販売　等々。

そしてこの“舞台”の主役は、ドラッグをやっていないのに頭の螺子が緩んだ感じのファンキーなおっさんたちだ。

彼らは昼間から酒を飲んだり、将棋をさしたり、通りをうろうろして怒ったり、ぶつぶつ言ったり、時々笑ったり叫んだりしている。

「日本とは思えない」というのが、上記のような新世界エリアを見た君たち外国人の第一印象らしい。

我々普通の日本人もそう思う。

「よくオーガナイズされている・静か・小綺麗・真面目」という一般的な日本のイメージとは真逆で、「無秩序・騒々しい・汚い・変」なのがこのエリアだ。

かと言って、ここは、世界中にあるような危険なスラムともちょっと違う。

あくまでも日本の中の町なので、歩いているだけで強盗に遭ったり、レイプされたりすることはなく、安全だ。

「うっすら変わった人達が変わった人達なりに変なものに囲まれて生き生きと暮らしている」というだけだ。

うーん、文章だけだと新世界のことを正確に伝えることは出来ない。

君がちょっと変なものを好きならば、実際に訪れて、自分の目で見て、感じて、確かめてくれ。

　

ここで新世界の歴史を少し語ると、20世紀初頭までは畑や荒地だったエリアだ。

1903年に開催された大きな博覧会のために一旦整備され、その後博覧会の跡地が「パリとニューヨーク」をテーマに開発され、遊園地や映画館などが建って、エンターテイメント系の人気エリアとなった。

新世界は30年ほど栄えるが、第二次大戦後は衰退して活気をなくし、街を歩くのは近接するドヤ街「あいりん地区」の貧しい労働者がほとんどとなる。

1961年以降「あいりん地区」で労働者の暴動が何度も起こるようになって、新世界のイメージも大幅に悪化し、「怖い町」というイメージが定着した。

しかし、1990年代あたりから「昭和の名残」を感じさせるレトロな街の雰囲気が若い世代などに再評価され、そしていくつかの映画、小説、漫画の舞台となったりして、イメージが大幅に良くなり、観光化地が進んだ。

以前はもっと“やばくて面白い”エリアであったが、近年はかなり普通の町になってきた感じだ。

良かったような、良くないような。。。

なお、新世界は大阪でNo.3のゲイ・タウンであり、近隣に飛田新地という日本最大級の遊郭街もある。

新世界は、ミナミエリア(なんば・道頓堀・心斎橋)に近接しており、特に新世界までは徒歩圏内なので一緒に回ると効率的だ。